八丈島の基本情報 HACHIJOJIMA
八丈島への移住・定住について MIGRATION・SETTLEMENT

八丈島(はちじょうじま)は東京都の伊豆諸島に属する島で、行政区域は八丈町です。
東京都心から南へ約286~287kmに位置し、ひょうたん型の島の中に西側の八丈富士(標高854.3m)と東側の三原山(700.9m)の二つの火山を擁しています。面積は約69平方キロメートル、人口は約7,000人(2024年現在)です。
温暖な海洋性気候により一年を通じて過ごしやすく、「日本のハワイ」と呼ばれたほど南国風の島でもあります。実際、1964年には共通点の多いハワイのマウイ島と姉妹都市提携も結ばれています。
島の基幹産業は花卉園芸(特産のフェニックスロベレニーなど)や沿岸漁業で、焼酎造り・くさや干物・伝統工芸の黄八丈織といった地場産業や観光業も盛んです。
白砂の底土海水浴場や濃い藍色の海(“八丈ブルー”)に代表される美しい自然、そして島ならではのゆったりとした暮らしが魅力の、東京から一番近い南国リゾートアイランドです。
八丈島へは船か飛行機でアクセスできます。
【船でのアクセス】
東京・竹芝桟橋から東海汽船の大型客船「橘丸」が毎日就航しています。出航は夜22:30頃、八丈島(底土港または八重根港)へは翌朝着で所要約10時間20分です。途中で三宅島・御蔵島に寄港しながら運航され、船内で夜景や星空を楽しむこともできます。運賃は季節や等級によりますが、2等船室で片道約14,000~15,000円が目安です(※2024年時点)。詳しい時刻や料金は東海汽船公式サイト(
https://www.tokaikisen.co.jp/)をご参照ください。
【飛行機でのアクセス】
東京・羽田空港から全日空(ANA)が八丈島空港まで定期便を運航しています。所要時間は約55分で、1日3往復便が設定されています。便は朝7時台、正午過ぎ、夕方(17時前後)の発着となっており、片道運賃はおおむね15,000円前後から(時期により変動、2023年4月現在)です。詳しいスケジュールや運賃の最新情報はANA公式サイト(
https://www.ana.co.jp/)で確認できます。羽田~八丈島間はわずか1時間弱と非常に近いため、都心での用事にも日帰り往復が可能な便利さも魅力です。
八丈島の気候の特徴
八丈島の気候は黒潮の影響を受けた温暖多雨な海洋性気候で、年間平均気温は約18℃と東京都心(約15.8℃)より高めです。夏と冬の気温差が緩やかで、冬でも氷点下になることはほとんどなく、夏も猛暑日が少ないため一年中過ごしやすい「常春の島」と呼ばれています。特に冬季は都内より体感で10℃ほど暖かく、南国の花々が咲き乱れる光景も見られます。一方で雨は年間を通して多く、年降水量は本州よりかなり多い約3,000mmに達します。天気が変わりやすく急な雨も多いので、訪れる際は雨具の準備があると安心です。また、毎年8月~10月頃には台風が数回接近・上陸することがあります。
豊かな雨のおかげで島は緑にあふれますが、台風シーズンの情報には注意し、安全に備えた生活が求められます。
八丈島には豊かな自然や温泉、歴史文化を楽しめる観光スポットが数多くあります。ここでは代表的なスポットをいくつかご紹介します。
■ 八丈富士(はちじょうふじ):島の北西にそびえる標高854mの美しい成層火山です。裾野が大きく広がる優雅な山容で、山頂には直径約400mの火口があります。登山道を上がるとお鉢巡りと呼ばれる火口縁のトレッキングコースがあり、約1時間で火口を一周しながら太平洋の大パノラマと火口内の神秘的な森・池を望むことができます。晴れた日は遠く青ヶ島まで見渡せ、島の雄大な自然を満喫できるスポットです。
■ みはらしの湯:三原山麓の高台にある町営温泉施設で、その名の通り絶景が楽しめる露天風呂が人気です。八丈島の形を模した大露天風呂や展望休憩所があり、太平洋や島南端の八丈島灯台まで一望できます。夕陽に染まる海、夜には満天の星空を眺めながらゆったり浸かる温泉は格別です。冬の昼間には運が良ければクジラの姿が見えることもあるそうです。緑がかった乳白色の湯で肌あたりも柔らかく、心身ともに癒される至福の温泉です。
■ 裏見ヶ滝(うらみがたき):三原山中腹にある高さ約5mほどの滝で、滝の裏側から流れ落ちる水を見ることができる珍しい景観が特徴です。溶岩を開削した用水路に三原川の水が落ち込んでできた滝で、遊歩道が滝の裏側を通ることからこの名がつきました。滝周辺はヘゴシダやテイカカズラなど亜熱帯の植物が生い茂り、マイナスイオンたっぷりの森林浴スポットにもなっています。滝のそばには無料の露天温泉「裏見ヶ滝温泉」もあり、男女混浴(水着着用)で山あいの景色を眺めながら入浴できます。秘境感あふれる癒やしのスポットです。
■ 八丈植物公園:八丈島空港に近い場所に広がる約22ヘクタールの大きな植物公園です。園内では熱帯・亜熱帯の植物約100種が栽培・展示されており、ソテツやオオタニワタリなど島固有の植物が茂る「八丈の森」、世界各地の植物を集めた「世界の森」、ソメイヨシノやオオシマザクラが咲く「日本の森」などゾーンごとに多彩な植生が楽しめます。ビジターセンターでは島で発見できる**“光るキノコ”**(ヤコウタケ)の実物を年間通じて展示しており、暗闇で淡い光を放つ不思議なきのこを見ることができます。さらに園内では野鳥観察もでき、小型のシカであるキョンを飼育展示しているコーナーもあります。南国情緒あふれる植物と生き物に触れ合える見どころ豊富な公園です。
このほかにも、島内には歴史民俗資料館や幕末の流人ゆかりの旧跡(宇喜多秀家と豪姫の墓碑など)、海沿いの溶岩台地が広がる南原千畳敷、島内各所の展望台、シュノーケリングでウミガメと泳げる海岸ポイントなど、数えきれない魅力があります。観光詳細については八丈島観光協会(https://www.hachijo.gr.jp/)の情報もぜひ参考になさってください。
八丈島では一年を通じて様々な祭りやイベントが開催されています。主なものをいくつか紹介します。
【八丈島の主なイベント】
1. 八丈島フリージアまつり
- ■ 時期
- 毎年3月下旬~4月上旬
- ■ 概要
- 春を代表する島の一大イベントで、島内各所に35万株ものフリージアの花が咲き誇ります。メイン会場の八形山フリージア畑では色とりどりの花畑を鑑賞でき、来場者はひとり10本まで花を無料で摘み取ることもできます。島言葉(八丈方言)体験や特産品の販売など催しも多数あり、島に春の訪れを告げる風物詩となっています。
2. 八丈島夏まつり
- ■ 時期
- 毎年7月中旬
- ■ 概要
- 八丈島最大の夏祭りで、島内の商店街周辺で2日間にわたり開催されます。夜店(露店)が立ち並び、伝統芸能の八丈太鼓やライブステージ、盆踊りなどで大いに賑わいます。島民も観光客も一緒になって盛り上がる真夏の一大イベントです。
3. 島じゅう盆踊り
- ■ 時期
- 毎年8月13日~15日
- ■ 概要
- お盆の時期に各地区ごとに開催される盆踊り大会です。夕刻になると集会所や広場に提灯が灯り、伝統の踊り手や太鼓の音に合わせて地域の人々が踊り明かします。地区によって日程や雰囲気が少しずつ異なり、島ならではの盆行事として受け継がれています。
4. 八丈島納涼花火大会
- ■ 時期
- 毎年8月中旬
- ■ 概要
- 夏祭りと並ぶ夏のハイライトで、八丈島の夜空を彩る花火大会です。例年8月11日前後に開催され、前日には前夜祭イベントも行われます。当日は約1,000発規模の花火が打ち上げられ、島の海岸線や高台から美しい花火を鑑賞できます。都会の喧騒から離れた島の夜空に咲く大輪の花は格別です。
5. 八丈島芸能文化祭
- ■ 時期
- 毎年6月頃
- ■ 概要
- 島内の伝統芸能や文化活動の発表会で、地元の保存会や愛好会が一堂に会し、八丈太鼓や民謡、フラダンスなど多彩な演目を披露します。世代を超えて島の文化を楽しみ、継承していく場となっています。
この他にも、1月のロードレース大会、5月の郷土芸能祭「八丈祭」、11月の音楽イベント「八八音楽祭」など、多彩なイベントが開催されています。詳しい日程や内容は八丈島観光協会のイベントカレンダー等で最新情報をご確認ください。
八丈島の住居事情
八丈島での住まい探しは、本土と比べると選択肢が限られるものの、いくつか方法があります。
1. 不動産業者・物件情報サイトで探す方法
八丈島の物件を扱う不動産業者は多くありませんが、一般的な不動産情報サイト(LIFULL HOME’Sやアットホーム等)に島内物件が掲載されていることがあります。2024年末時点で確認できる島内の不動産業者は2社程度で、物件数も限られます。まずはこれら業者に問い合わせ、最新の空き物件情報を入手するのが良いでしょう。
2. 空き家バンクを利用して探す方法
八丈町では、利用されていない空き家を「空き家バンク」に登録し、島に移住希望の方へ売買・賃貸情報を提供する制度があります。ただし掲載件数は時期によって少なく、2024年12月時点では登録物件は1件のみでした。随時更新される可能性があるため、こまめにチェックするとともに、気になる物件があれば早めに問い合わせることをおすすめします。空き家バンク経由で物件を取得した場合、改修費等の一部について補助金が出る制度もあります(後述の「支援制度」の項目参照)。
3. 町営住宅に応募する方法
一定の収入要件等を満たす場合、八丈町が運営する公営住宅(町営住宅)に入居できる可能性があります。応募資格は「島内に住所があるか転入予定」「世帯月収がおおむね15万8千円以下(子どもや高齢者がいる場合は21万4千円以下)」「税や保険料を滞納していない」など細かな条件があります。募集は不定期に行われますので、町公式サイトや広報で情報を確認し、希望する場合は申込手続きを行います。町営住宅は家賃が抑えられている反面、空き待ち状況や立地を考慮する必要があります。
以上のように、島での賃貸・住宅探しは都市部より手間がかかる場合があります。移住当初はすぐ住む家が見つからないケースもありますが、状況に応じては企業や団体が一時的に社員寮や体験住宅を提供してくれる場合もあります。不安な方は八丈島移住定住促進協議会など移住相談窓口に問い合わせてみると良いでしょう。
島内での仕事
八丈島の主な産業は農業(花き・観葉植物栽培)、漁業、観光業、それに行政・公共サービス分野です。特に花卉園芸では“ロベ”と呼ばれるフェニックス・ロベレニー(観賞用ヤシ)が島の特産で、日本全国流通分の大半を生産しています。漁業ではキンメダイやトビウオなどが水揚げされ、くさや干物や島寿司などの加工食品としても知られます。観光業も島内のホテル・民宿、ダイビングショップ、飲食店などで盛んで、美しい自然を求めて訪れる観光客を支えています。また人口高齢化に伴い福祉・介護分野の人材需要が高く、介護職や看護師などの募集も多く見られます。実際、八丈町立の病院・診療所、特別養護老人ホームなどでは随時職員の募集が行われています。
一方、島内の求人数は都市部に比べて限られるため、移住者向けの仕事探しには工夫も必要です。八丈町では**「八丈町おしごと掲示板」という求人情報サイトで島内企業の求人を掲載しており、島ぐるみで雇用情報の提供に努めています。また、東京都の移住ポータルサイトやハローワーク八丈出張所なども求人検索に活用できます。近年では地域おこし協力隊**として島に移住し、地域振興のミッションに取り組む人も増えています。八丈町でも現在数名の協力隊員が活動しており、観光PRや定住支援など様々な分野で地域に貢献しています。協力隊募集情報はJOINサイト(全国移住ナビ)などで公募が出ることがあります。興味のある方はチェックしてみると良いでしょう。

さらに、八丈島はリモートワーク環境にも適しています。平成16年(2004年)にNTTの光回線が開通して以来インターネット環境が整備されており、島内ほぼ全域でブロードバンド回線が利用可能です。実際に「離島だが光回線が行き届いていてテレワークがしやすい」との評価もあります。島にはFree Wi-Fiスポットも町営施設などに整備されつつあり、自宅でも在宅勤務が十分可能です。高速ネットと自然あふれる環境を活かし、ITエンジニアやデザイナーなどが移住して仕事を続けるケースも出てきています。また、島内には公的なコワーキングスペースはありませんが、ホテルのラウンジやカフェを仕事場として利用するリモートワーカーも見られます。東京と比べ通勤ストレスがなく、休憩時間に海や山へすぐ行ける開放感は島ならではでしょう。仕事とプライベートのバランスをとりながら、新しい働き方を模索する場所として八丈島は注目されています。
【教育機関について】

八丈島には保育園・幼稚園から高等学校まで、島内で子どもが一貫して学べる教育環境が整っています。
保育園は町立が4園あり(むつみ保育園等)、小学校は3校、中学校も3校があります。高校は東京都立八丈高等学校が島内に1校あり、全日制普通科で島外からの離島留学生も受け入れています(2023年度より募集開始)。
島の学校はいずれも小規模で、児童生徒数が少ない分、一人ひとりに目が行き届いた家庭的な指導が行われています。
例えば小学校では全校児童での合同学習や地域行事への参加が盛んで、**「島全体で子どもを育てる」**ような温かい教育風土があります。
また、八丈高校では地域密着の教育カリキュラムが特色で、島の自然や文化を題材にした学習やインターンシップも実施されています。
島内に高等教育機関(大学等)はありませんが、高校卒業後は多くの生徒が本土の大学・専門学校等へ進学し、島外で経験を積んでからUターン就職するケースも見られます。
【子育て支援について】

小さな離島ではありますが、八丈島の子育て環境は充実しています。まず医療面では町立八丈病院に小児科と産婦人科が設置されており、妊娠・出産から小児医療まで島内で対応可能です。離島で分娩施設があるのは珍しく、島外に出ずに「産んで育てる」ことができる安心感は大きな魅力です。さらに八丈町では子どもの医療費を高校卒業まで全額助成しており(18歳到達の年度末まで対象)、保護者の経済的負担を減らす制度があります。児童手当も全国同様に支給されますし、ひとり親家庭には児童扶養手当の支給など各種支援策があります。保育園については島内4園がいずれも定員に余裕があり、待機児童は発生していません(年によりますが、概ね希望すれば入園可能な状況です)。保育料も所得に応じた負担で、第2子半額・第3子以降無料など多子世帯への配慮があります。幼児教育・保育の無償化(3~5歳および住民税非課税世帯の0~2歳児)も実施されています。
子育て支援サービスとしては、子ども家庭支援センターが島内にあり、育児相談や親子教室、一時預かりなどを行っています。各保育園でも子育てサークルや園庭開放デーが設定され、未就園児の親子が交流できる場を提供しています。また、島内には学童保育施設はありませんが、代わりに地域の有志による放課後子ども教室が開催されています。例えば毎週金曜日の放課後に「子どもクラブ」が開かれ、島内外の講師を招いた工作・スポーツイベントなど多彩な活動が行われています(※新島の例と同様の取り組みが八丈島にもあります)。こうした地域ぐるみの見守りが子どもたちの健全育成につながっています。
【暮らしやすさ】
働き方の面でも、八丈島では多くの職場が夕方17~18時には終業し通勤も車で数分~十数分程度のため、家族そろって夕食を囲む時間が持ちやすいと言われます。大自然の中でのびのび遊べる環境と、地域の大人が声をかけ合う安心感は、子育てにはうってつけでしょう。以上のように八丈島は教育・子育て環境が概ね整っており、離島というハンデを感じさせない暮らしが実現できるよう行政・地域が一体となってサポートしています。
【医療体制】
八丈島の中核医療機関は町立八丈病院です。島の三根地区にあり、54床の入院設備を備えた総合病院で、内科・外科・小児科・産婦人科・整形外科・眼科・リハビリ科など主要な診療科があります。常勤医師は少人数ながらも複数科を兼務し、島民の健康を支えています。平日日中は外来診療を行い、夜間・休日は当直医が緊急対応に当たります。島内には他にも歯科医院が数軒あるほか、坂上地区(南部)には訪問診療クリニックも開設され、高齢者宅への往診なども行われています。医療設備面では、一般的な検査機器やX線撮影装置、救急車など一通り揃っています。ただし高度な検査治療(MRI検査や外科手術の一部など)は対応が難しく、その場合は東京都立大塚病院など本土の提携病院へ搬送・紹介されます。島外の医療機関へ通院が必要な場合、航空機運賃の半額相当(片道分)が補助される制度もあり、経済面での負担軽減が図られています(令和6年度より助成額上限など改定予定)。また、島民向けに離島医療搬送サービスとして、急患時に自衛隊機や海上保安庁ヘリで本土病院へ搬送する体制も東京都が整備しています。日常的な診療は島内で完結し、専門治療のみ島外サポートを受けられる体制のおかげで、安心して暮らすことができます。
【福祉サービス】
高齢化率の高い八丈島では、高齢者や障がい者への福祉サービスも充実しています。
介護保険サービスとして、訪問介護(ホームヘルパー)、通所介護(デイサービス)、短期入所(ショートステイ)、福祉用具の貸与、住宅改修費補助などが利用可能です。
島内には特別養護老人ホーム「第二八丈老人ホーム」(定員30名)や介護老人保健施設(八丈島医療センター内に併設)などの入所施設もあり、要介護度の高い方の受け入れ体制も整えています。
また、高齢者在宅サービスセンターではデイサービスや配食サービスを提供し、地域包括支援センターが中心となって介護相談や予防ケアにも取り組んでいます。
「養和会」といった社会福祉法人が運営主体となり、島ならではのきめ細かな福祉を実践しています。
障がい者福祉についても、行政から各種手当やサービスが用意されています。八丈町では心身障害者福祉手当(重度障がいのある20歳以上の方に月額支給)や特別児童扶養手当(障がい児を養育する保護者に月額支給)などの制度があり、経済的負担の軽減を図っています。障がいのある方への訪問リハビリや就労支援、公営住宅での優先入居措置なども個別ケースで対応しています。さらに、八丈町障がい者福祉計画に基づき、バリアフリー化の推進や障がい者スポーツ・文化活動の支援も行われています。
子どもからお年寄りまで、誰もが住み慣れた島で安心して暮らせるよう、医療・福祉の面で行政のサポートが手厚いのは八丈島の大きな魅力です。「病気になったらどうしよう」「高齢になっても生活できるかしら」といった不安を少しでも解消できるよう、今後も地域ぐるみで支え合う取り組みが続けられています。
■ インフラ設備
八丈島の生活インフラは概ね本土と変わらず整っています。電力は東京電力パワーグリッドから供給されており、島内全域で安定した電気が利用できます。加えて、日本初の離島地熱発電所が1999年に島内(三原山中腹)で稼働開始し、最大3,300kWを発電して夜間最低需要をまかなった実績があります。老朽化により2019年にいったん発電所は廃止されましたが、現在は新たな事業者による地熱発電再開計画が進んでおり、再生可能エネルギーの活用にも取り組んでいます。水道も島内に水源地・貯水池が複数あり、各集落へ安定給水されています(昭和期に水道整備が完了済み)。ガスについては都市ガスの配管網は無く、各家庭でプロパンガスをボンベ設置して利用しています。ガス業者が定期的にボンベ交換・充填を行う形で、本土同様に台所や給湯でガスを使えます。
■ 通信インフラ
通信インフラは、前述のとおり光ファイバー回線が島に敷設されており高速インターネットが利用可能です。NTTのフレッツ光や各種プロバイダ回線サービスが提供されており、スマートフォンの4G/LTE回線も主要キャリアで島内ほぼ全域カバーされています(5Gは一部エリアで順次提供中)。島内の公共施設や飲食店には無料Wi-Fiスポットも整備されてきています。離島暮らしでもオンラインでの仕事や娯楽を楽しむ上で、大きな不便はないでしょう。
■ 買い物事情
八丈島にはコンビニエンスストア(チェーン店)はありませんが、その代わりに地元スーパーや商店が生活物資を幅広く扱っています。代表的なスーパーとして、大賀郷地区のAコープ八丈ストア、三根地区のスーパーアサヒ、樫立地区のスーパーやまだなどがあり、食料品や日用品を購入できます。営業時間は店舗によりますが朝~夕方(だいたい19時頃)までのところが多く、24時間営業の店はありません。そのため夜間の買い忘れには注意が必要ですが、島民は計画的に買い物をして不自由なく暮らしています。また、生鮮食品は本土からの定期船・航空便でほぼ毎日補充されるため、島でも野菜や肉魚が普通に手に入ります。価格は若干割高な品もありますが、大量に買い込む必要は特になく、本土同様の感覚で買い物できるでしょう。その他、ドラッグストア(数店舗)、家電店、衣料品店、100円ショップ的なお店も島内に点在しています。ネット通販の配送も利用可能で、東京都内扱いのため送料も本土と同じです(船便になる関係で到着に数日余計にかかる程度です)。
■ 交通機関・移動
島内の主な移動手段は自動車です。八丈島は南北に細長い地形で、島一周道路(約50km)があります。島内には町営バスが路線運行しており、空港~役場前~坂上地区方面など数路線がありますが、1日の本数は少なめです(1~2時間に1本程度)。タクシー会社も2社あり、主要施設や空港などで利用できます。観光目的ならレンタカーやレンタバイク、自転車レンタルもあります。とはいえ日常生活には自家用車がほぼ必須と言われるほど、公共交通だけでの移動は不便です。島内は狭いので車があればどこへでも10~15分程度で行き来でき、通勤渋滞も皆無です。免許を持たない高齢者向けに予約制乗合タクシー(デマンド交通)実証実験も行われています。また、離島ならではの交通サービスとして、島外への移動について島民割引制度があります。東京都が発行する「離島住民航空割引カード」を利用すれば、東京~八丈島間の航空運賃が大幅に割引になります。島民は誰でも申請でき、有効期間中は往復運賃の3~4割引程度(要件により異なる)の優待を受けられます。東京への船便も住民割引運賃が設定されています。このように、島民の交通コストを少しでも軽減する制度が整えられているのもありがたい点です。
■ その他の生活情報
ゴミ収集は町が行っており、週2回の燃やせるゴミ収集や資源ゴミの分別回収があります(詳細は町のごみカレンダーを参照)。上下水道は完備され各戸に引き込まれています。治安は非常に良く、深夜に出歩いても事件事故はほぼ起きません。島内には交番・駐在所が3か所ありますが、いずれものどかな雰囲気です。娯楽施設は映画館やショッピングモールはありませんが、公民館での映画上映会やスポーツセンター(プールや体育館)、カラオケボックス、バーや居酒屋など、小規模ながら楽しめる場所があります。島暮らしでは自然の中で遊ぶこと自体が大きなレジャーとなるでしょう。総じて、八丈島の生活インフラは「島だから不便…」という心配はほとんど無用で、現代社会のサービスを享受しながらスローライフを送ることができる環境と言えます。
八丈島(八丈町)では、移住や子育て、住宅、新規事業など様々な分野で使える支援制度・補助金があります。ここでは主なものを紹介します。
■ 八丈町定住支援金:東京都の制度を活用した移住支援金です。東京23区在住または23区へ通勤していた方が八丈島に移住して就業・起業等した場合、1世帯あたり単身60万円、2人以上世帯で100万円の支援金が支給されます(テレワーク等の場合は単身30万円・世帯50万円)。支給には転入前の在住要件(直前10年間で通算5年以上東京圏在住など)や、転入後5年以上の定住意思など条件があります。該当しそうな方はぜひ町役場企画財政課に問い合わせてみましょう。島への移住・定住促進を図る心強い支援制度です。
■ 空き家改修・除却補助:八丈町の空き家バンク登録物件を購入または賃借して活用する場合、その改修費や解体費等の一部を町が補助する制度があります。補助率は対象経費の1/2で、上限額は改修工事:100万円、除却(解体):100万円、伐開(敷地整備):50万円となっています。例えば空き家をリフォームする際に最大100万円の補助が受けられる計算です。老朽化した空き家の有効活用と移住者の住環境整備を支援する目的で、八丈町が独自に実施しています。
■ 島民航空運賃割引カード:前述のとおり、島民向けに航空賃を割り引く「アイきっぷカード」(離島住民割引)が用意されています。年会費等は不要で、申請すると大人1名につき1枚発行され、有効期間内は羽田~八丈島便の運賃が通常より安くなります。帰省や出張で飛行機を利用する際に経済的負担を軽減できるありがたい制度です。
■ 子育て支援制度:子育て世帯向けには、子ども医療費助成(高校生まで医療費無料)をはじめ、出産祝い金(第3子以降に支給)、多子世帯保育料軽減、児童手当、ひとり親家庭の医療費助成など各種制度があります。妊婦健診についても14回分の補助券が交付され、自己負担なく健診を受けられます。また、島外での分娩になった場合に備えて妊産婦の交通費助成も東京都の制度としてあります(必要に応じ実費の一部補助)。詳しくは八丈町子育てガイドや町福祉健康課にて案内しています。
■ 起業・事業者向け補助:八丈町では、島内での新規雇用創出や事業拡大に対し「雇用機会拡充事業補助金」などを交付しています。具体的には、新たに従業員を雇った事業者に一定額を助成したり、企業誘致・起業支援として設備投資の補助を行う制度です。島でビジネスを始めたい人にとって追い風となるでしょう。また、国の制度である企業版ふるさと納税を活用した町への寄付誘致も行われており、町と企業のタイアップで地域課題を解決する取り組みも進められています。